「ジェネリック医薬品」の正しい知識

新薬と同程度の効能をもちながら価格が大幅に低い「ジェネリック医薬品」

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医師に処方してもらう薬には「新薬」と、新薬と同じ有効成分を配合しながら薬価(国が定めている薬の価格)が大幅に低い「ジェネリック医薬品」の2種類があります。

新薬とはその名の通り、新しく開発された薬で「先発医薬品」とも呼ばれます。新薬が発売されるまでには十数年もの長い研究期間と何百億円という膨大な費用がかかっています。そのため特許を出願してから20〜25年間は、開発した製薬会社が独占的に製造して販売することができ、その間、有効性や安全性を確認するための調査や再審査も行われます。

それらが終了すると、その有効成分は国民共有の財産とみなされ、ほかの製薬会社も、厚生労働省の承認を得れば、同じ有効成分の薬を製造し販売することができるようになります。これが、ジェネリック医薬品です。「後発医薬品」とも呼ばれ、研究開発にかかる期間も新薬に比べ3〜5年と短く、開発費用も格段に安くすむため、新薬と同じ有効成分を含んでいながら、価格を新薬の3〜7割と低く設定できるのです。

ただし、薬の特許には有効成分の特許以外にも、製法特許や製造特許があり、これらの特許が切れていなければ同じ添加物を加えたり、同じ製法で製造したりすることはできません。そのため、ジェネリック医薬品の中には、添加物や製造法などが新薬と異なるもの、剤形や味、においが異なるものなどもあります。したがって、新薬とまったく同じというわけでなく、「おおむね新薬と同じ薬」と考えてください。

ジェネリック医薬品の承認を受ける際、有効成分の有効性や安全性は新薬で確認済みとみなされますが、製品の安定性と生物学的同一性(吸収パターンが新薬と同じであること)を示すデータが求められています。ですから、薬としての安定性や安全性については、心配はまずありません。

家庭での医療費の節約に役立つ

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医師に処方してもらうすべての薬にジェネリック医薬品があるわけではありませんが、現在使われている医療用医薬品の多くはすでに特許が切れていて、ジェネリック医薬品が存在しているといわれています。

価格が低く設定されているので、特に高血圧や高脂血症(脂質異常症)、糖尿病など慢性の病気で継続的に薬を服用している人は、ジェネリック医薬品に替えることで、薬代の負担がかなり軽減されます。

それだけではありません。もしも、特許期間が過ぎている薬をすべてジェネリック医薬品に置き換えれば、国民医療費は年間で1兆円節約できるといわれています。

欧米諸国では、すでにジェネリック医薬品は処方全体の50%以上のシェアを占めていますが、日本ではまだ処方全体に占める割合は17%程度(2006年・医薬工業協会調べ)にすぎません。

そこで、日本でもジェネリック医薬品を使いやすくし、増え続ける国民医療費を抑制しようと、2008年4月からの診療報酬の改定に伴い、処方箋の様式が変更されました。

処方箋に医師のサインがなければジェネリック医薬品に変更できる

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これまではジェネリック医薬品の処方を希望する場合、その旨を医師にはっきりと申し出ることが必要でした。しかし現在は、患者さんが何も言わなくてもジェネリック医薬品への変更可能な処方箋になっています。医師が特別にこの新薬でなければならないと判断した場合だけ、ジェネリック医薬品への「変更不可」の欄に医師がサインすることになっているからです。

ジェネリック医薬品を利用したいのに処方箋に「変更不可」のサインがある場合には、その理由を医師に尋ねてみるとよいでしょう。

一般的にジェネリック医薬品に置き換えられない理由として考えられるのは、①新薬の特許が切れていないためジェネリック医薬品がない②新薬と同じ有効成分を含むジェネリック医薬品でも健康保険で認められている適応症が異なる③ようやく新薬で病状が安定してきたので、あえてジェネリック医薬品に替えないほうがよい④医師がジェネリック医薬品に対して否定的な考えをもっている、などです。

薬局に処方箋をもっていくときの注意

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ジェネリック医薬品への変更不可という医師のサインがない処方箋を薬局にもっていっても、ジェネリック医薬品がない場合もあります。すべての薬局があらゆるジェネリック医薬品を常備しているわけではないからです。希望すれば取り寄せもしてくれますが、あまり使われない薬だと取り寄せを渋る薬局もあるかもしれません。しかし患者さんの意思と選択が何よりも優先されますから、薬剤師とよく相談するようにして下さい。ただ、あまり使用されないジェネリック医薬品を取り寄せてもらったら、できるだけその薬局を次回も利用してほしいと思います。

ジェネリック医薬品の利点は、薬価が3〜7割安いことですが、1つの新薬に対してさまざまな製薬会社からジェネリック医薬品が出されていますし、その価格にも幅があります。

また、薬局で支払う金額には、薬剤料のほかに調剤料や薬剤服用歴管理指導料なども含まれ(新薬・ジェネリック医薬品共通)、新薬からジェネリック医薬品に変更したときは、初回のみ、後発医薬品情報提供料も加算されます。ジェネリック医薬品に切り替えれば、薬局で支払う金額が3〜7割安くなるというわけではありませんが、情報提供料などが加算されても、従来の支払金額よりはかなり安くなることが多いようです。

ジェネリック医薬品を上手に利用するためにも、さまざまな情報をもっている、かかりつけの薬局をもつことをおすすめします。患者さんがそれまで使用していた薬のことをよく知っている薬局の薬剤師ならば、いくつもあるジェネリック医薬品の中から、患者さんに合ったものを選ぶためにきめ細かく相談に応じることができます。

なお、一度ジェネリック医薬品に変更したら、新薬に戻すことができないということはありません。もしジェネリック医薬品に替えてみて、「どうも以前に飲んでいた薬のほうがいい」と思ったら、医師にその旨を伝え、相談してください。

先発医薬品であろうとジェネリック医薬品であろうと、服用後の体調変化を医療関係者に伝えることは何より大切です。これは、薬を使用する時の常識になってほしいと思っています。そして是非、多くの方に医療に対してコスト意識も持っていただけたらと思います。

【監修】医薬情報研究所(株)エス・アイ・シー  取締役  医薬情報部門責任者  堀 美智子

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